リュウグウノツカイ/済谷川蛍
 
ている。長いエスカレーターに運ばれていく。その外観から、どのような夢の世界が広がっているのだろうと不安と期待を膨らませたが、建物の内部は一面工事現場だった。唯一施設らしい施設として、広場の真ん中に教会が聳え立っている。よく見ると、むき出しの地面にはところどころに人骨が白く覗いている。呆気にとられながら振り返ると、2人の守衛がエスカレーターを上がってくる。私は何とか逃げ道を探して教会へ走ったが、教会は近づくにつれて立体感を無くしていき、辿り着くと3メートルもない一枚の絵に変わった。振り返るとすぐそばまで化け物が迫っている。出入り口のアーチにかかった「ここは夢の国」の看板。私はこれが夢であることを願っ
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