【 月詠み 】/泡沫恋歌
を越え
ひとり天上を目指し昇りゆく
黒い月
自然破壊 環境汚染
そして核戦争
望み過ぎた人類は
自ら墓穴に墜ちた
科学の力で
神に近づこうとする人類を
嘲り嗤うかのように
神が罰を与えた
草木は枯れ 水は干上がり
空気は黒い毒ガスに
青い惑星は
生き物が死に絶え
死の星になった
人類の累々たる屍が
未来を呪って横たわる
地から這い出た蟲どもと
貪欲な鴉が死肉に群がる
太陽は昇らない
星々は瞬かない
そこは常闇の世界
荒野を渡る風が
引き裂くように啼いた
まるで地球の
断末魔の叫びのように
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)