野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
。 ―
空きっ腹には何の足しにもならなかった。
オレは街に出たさ。
街には子猫好きを自称する薄汚い娼婦がたくさんいて、オレに餌をたんまりくれる。オレは浮かれた。抱きしめられ頬ずりされそのうちリードでベッドにくくりつけられもした。
冗談ジャねぇ!!
オレは草原を疾走するチーターやジャングルに潜むジャガーを夢見ていたんでだ。だからオレは隙を見て野良猫になった。猫嫌いの親父に石ぶつけられたり、少し腹が減って、項垂れていると 鴉や鳶に狙われたり、浮浪者が寒さを凌ぐための道具としようと追いかけ回されたり。
たとえ食い物にこと欠いても
オレは満足していた。
だからお前 さも
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