野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
う奴から何かを発見するなんてことはありゃしないが。
そんなとき、オレは見えもしない色彩を小さな頭脳に感応した! ― オレは鳴き声の反響の違いによって色が物体にあることを感応した。さらに、猫踊りだ。本能的なリズムとともに、いつの日か、あらゆる感覚をなきごえにしたいと思っている。
まず初めは夜だ。オレは、夜の静けさの中で下品な犬どもの遠吠えと違う猫の囁くような鳴き声を風に聴かせた。風は答えてくれた。
わかるぜぇ、胡散臭い音色
夜の街にはあの忌々しい鴉も、酔っぱらいを除けば偉偉そうにふんぞりかえっている人間もいない。
そこにあるのは港の中空に輝き海面に揺らめく満月だけだ
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