野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
 
らオレは、この港街の風景に溶け込み、適当に食い物を掻攫って生きてきた。人間と仲良くすることなどくだらないと思っていた。
 オレ猫が愛していたものは、気ままな昼寝と鰯の数匹、遊ぶための生きたネズミと眺めの良い高い場所だ。さらに他愛のないおもちゃやぎりぎりに丸まれるせまい袋等も好みだ。

オレは夢見ていた。
ライオンを、
草原を疾走するチーターを、
ジャングルに潜むジャガーを、
あらゆる猛獣の頂点に立つことを


そんなオレが気になる人間が一人だけいる。大した奴じゃない。流れ者の風来坊できったねぇ上着にぼろぼろのブーツを履いて、何やら仕事を探していた。それがおまえだ。
こういう奴
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