野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
 
ラに飛び降り
そのまま港の繋留索のつながれたビットの上で
蜷局を巻いた。
鴉は猫を襲わない。
猫は鴉を無視する
微妙な無関係が港町を支配する。
どこの町も一緒の気怠さ



アンカーに係留されている大型船
岸壁の縁に並んでいるビット
その上に座り俺をじっと見ている猫は
俺を町中からここまで連れてきた。
俺は猫に話しかけた。
ポケットから取り出した小さな煮干し呉れてやって

どうしてここに連れて来たんだろう。
何もありゃしない。
俺はこの街に流れて来たが、今はルンペンだ。

さてどうしたものか

そいつは口を開いた。




ずっと以前からオ
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