小詩集【すべてはとうに月でした】/千波 一也
正直者しか
受け入れない
五 すべては砂底に
砂を砕くと
きれいに光る
音も
飛散も
きれいに光る
いのちは
風
風は
かなた
かなたは
流れ
流れは
渇き
ほら、
行き着く先は
砂の底
きれいに
終わる
すべては
光
六 船頭の証言
ええ、
確かに見ましたとも
それはそれは
物静かな横顔で
ついつい
見とれてしまうほどでしたから
間違いなど
ありません
あれは
確かに
月でした
ただ、
あれが
水の中だったのか
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