遺書にはならない足跡/セグメント
気持ちにはならなかった。もう一人ではないのだとは、思わなかった。それは年齢を私が積み重ねるにつれ、数年前の当時よりも寂しさや悲しみが募って行った結果なのかもしれないことを鑑みると、不思議なことではないのかもしれないが、現在の私の恋人は、懸命に私のことを考え、心配し、私と一緒に沢山の楽しい時間を過ごして行こうと考えてくれていることが、数年前と現在とでの違いにおける決定打だろう。
人間を比較することは愚かなことかもしれないが、人が違えば、それはもう全てが違うのだ。考え方も、価値観も、話し方も、雰囲気も、声も。現在の恋人は、私にとってかけがえのない人だ。決して、失いたくない。決して、失うという選択を
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