遺書にはならない足跡/セグメント
 
の水族館に行った。池袋の猫カフェに行った。池袋のダーツバーに行った。大宮のパン屋に行った。大宮のケーキ屋に行った。杉戸高野台の食べ放題に行った。新越谷のパン屋に行った。カラオケ、公園、散歩。沢山の場所に行った。どれも楽しく、小さな出来事も全て宝石のように綺麗だった。一緒に見た花のことや、一緒に食べたパンの味、繋いだ手のあたたかさ、見上げた夏の青空と白い雲、どれも私は忘れないと思う。
 そう、忘れないと思う。こんなに幸せで、やっと、生きて来て良かったと思えたのだ。何度も死を考え、友人には恵まれたが家族には最終的には愛されなかったこと、父と暮らす約束をしていたのに他界してしまったこと、落ち込みやすい
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