遺書にはならない足跡/セグメント
形になっている現状、私は今日まで生きて来て、ようやく恋人によって救われたのだ。
私より六つも年が下の恋人は、精一杯、私を愛してくれる。嬉しい。それなのに私は、拭い去れないのだ。また、いつかのように、誰かのように、期限付きの愛情で以って私を置き去りにして行くのではないかと。
10
疑ってばかりいたら何も得られない。相手にも失礼なことだ。分かっている。だが、私はもう二度と、置いて行かれること、いらないと捨てられること、飽きられることがいやなのだ。ずっと、好かれていたい。ずっと、好きになっていてほしい。ずっと、好きでいたい。出来るだけ多くの同じ時間を過ごして行きたいのだ。
池袋の水
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)