遺書にはならない足跡/セグメント
。幼い私の心には、楽しかった思い出が幾つも星のように存在している。それは本当にささやかなことでも構わない。夏祭りの日に近所の子供達と一緒に貰った氷菓子とか、ジャングルジムで遊んだこととか、持久走大会に両親が応援に来てくれたこととか、「中学校卒業おめでとう、高校でもがんばってね」という手作りのメッセージカードを弟が贈ってくれたこととか。それこそ、思い返せば星の数ほどに思い出はきらきらと存在を示してくれる。私は、それらをとても大切に思っている。
だからこそ、いつからかずれ始めた、歯車とでも言うべき家族関係に深く悲しんだのだろう。そして、両者の両極端さに脳も心も体も付いて行けず、困惑し、混乱し、泣き
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