遺書にはならない足跡/セグメント
と考えている。
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愛情こそが私に必要なものであったと――今、ようやく理解し始めている気がする。本当の意味では、まだ分からないのだ。何故なら私は、恋人にですら、全幅の信頼を寄せることが出来ていない――出来ないのだから。これは時間が解決する事柄なのかもしれないし、もしかしたら燻り続ける火のように私の中に残ることなのかもしれない。答えは、いつか分かるかもしれないし、分からないまま死ぬのかもしれない。
だが、今、私は愛されて幸せだ。ようやく、幸せというものを知った気がする。幸せと言うよりも、愛情と言うべきか。
私が今までに一度も、決して誰にも愛されなかった子供であるとは思わない。幼
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