遺書にはならない足跡/セグメント
なくとも、自宅の目の前で工事が始まろうとも、新しく隣に入った人間が深夜にテレビを観ていようとも、泣きながら帰宅する程に家に嫌悪を覚えていようとも。それでも私はまだ、もう少しでも、生きて行きたいのではないだろうか。
何の為に勉強をするのだ。資格を取って、就職に繋げ、引っ越す為だ。何故、生きているのだ。作家になる為だ。分かり切っている。ただ――あの、どうしようもない程の衝動と絶望と悲嘆は筆舌に尽くし難い。メーターの針が振り切れるようになってしまう私の頭の中。これを抱えて今後も私は生きて行くのだろうか。
友人はいても、相談がほとんど無意味ではないかと分かり始めてしまった私は、誰に何を話して生きて
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