遺書にはならない足跡/セグメント
自らの意思と無関係に入れ代わった時よりも記憶は鮮明に残っている。
だが、記憶が断片的にしか残っていない日の時のことが、私はとても恐ろしい。何故、自分自身のことだというのに、自分の中で自分が連続していないのだ。もしかしたら私が知らないだけで、私が覚えていないだけで、他にもそういった事象があるのではないか? 疑ったらきりがないことは分かっている。だが、この暗澹たる恐怖をどこへ持って行けばいいのだ。私が私として存在し続ける限り、こういった疑念や恐怖は付いて回る。それとも、いつかそれらがすっきりと、綺麗に霧散する日が来るというのだろうか。果たして、それはいつになるのか? その日まで、私の心は耐えること
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