野良猫その4/……とある蛙
 


何の!おれにはありありと見えていた、
服従する相手がいなくても、
守ってくれる者がいなくても
いつもビクビクしていたことを
本当は食い扶持が欲しいのだ
本当は肩書きが欲しいのだ
だれそれの下っ端という
くつろげる家庭が欲しいのだ


教会の代わりに工場を、
水産加工場のまわりに巣くう鴉を
それを撃滅するための太鼓を
魚を運ぶネコ車
港のまわりには魚を飯の種にしている
人、犬 猫 鴉
化け物どもがわんさかだ

 ただ食えれば良いだけではない。
 アップダウンの少しある散歩道
 思索するための日溜まり
 少し高さのある昼寝の場所
 
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