野良猫その4/……とある蛙
顎を少しだけ撫でるあっさりとした猫好き
さすがにここから東京スカイツリーは見えない。
ありとあらゆる詭弁を使うのだが、
詭弁に魔法はついて回らず、
鴉どもとはそろそろおさらばしたい
(人)
俺はよそ者であって、厄介者であって
街の者からは
眼の中には存在していても
意識の中では存在しない幽霊だ。
野良猫はじっと俺を見ている。
大きな黒目で瞬膜は見えない。
その大きな黒目の中に
俺が襤褸を着て所在なく佇んでいる。
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