ダイアローグ ー野良猫その3ー/……とある蛙
能的なリズムとともに、いつの日か、あらゆる感覚をなきごえにしたいと思っている。
まず初めは夜だ。オレは、夜の静けさの中で下品な犬どもの遠吠えと違う猫の囁くような鳴き声を風に聴かせた。風は答えてくれた。
わかるぜぇ、胡散臭い音色
夜の街にはあの忌々しい鴉も、酔っぱらいを除けば偉偉そうにふんぞりかえっている人間もいない。
そこにあるのは港の中空に輝き海面に揺らめく満月だけだ。
あのビットの上でオレは月に向って小声で一吠えした。オレはもうミルクなんぞ呑んでいないぞ。
あの岬の突端の草ッ原で、オレは何が飲めたのか、
一本の松の拉げた老木は松脂しか無く押し黙り、草は海風で花も
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