橿原断片 / 耳成山/beebee
た気がする
ざりがに釣りに池に遊びに来ていた時も
岸から黒い糸を垂らし一人前の顔をして混じっていた
バケツいっぱいになってざわざわするそれを大きく振り回し
ぼくはみんなになって池の回りを走り回った
でもそれは本当に小さな池に見えた
田舎の用水池のように今はコンクリートに岸を固められ
わずかに雑草の茂る岸に舟が繋いであった
同じように朽ちた木造の舟だが
確かに現代に繋がれて汚れて乾いた泥をつけ
細かい浮き草の中に浮かんでいた
そこから藪のような森の小径を歩いて行くと
道は大きく回り込み折り返し
所どころに窪みのような不思議な穴があって
今はごみや枯れ枝が折り重
[次のページ]
戻る 編 削 Point(21)