さくらぞめ/亜樹
『戦争をしているのは、とてもとても遠い国で、私たちには何の関係も無いのです』
テレビも新聞も学校の先生も政治家も、皆同じことを言う。
けれど皆知っていた。
確かに戦争をしているのはとてもとても遠い国で、僕らの御国は一つの爆撃だって受けてやしない。
其の代わり、少しずつ人が減ってゆく。
資源も技能もない僕等の御国は、代わりに人を差し出して、何か得体の知れないものに必死になってしがみついている。
都から遠いところから、順々に男の人はいなくなる。女の人は其処で待つか、都の方へ行く。子供は其れについていく。
先日とうとう隣の町から男の人はいなくなって、随分多くの転校生が僕等の
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