さくらぞめ/亜樹
等の学校にもやってきた。だから、次はこの町の番だ。
馬鹿らしいと思う。とても。
だからと言って、微温湯のように訪れる破滅をどうにかできるような力も意思も、僕にはないのだ。
「……この国では、していないのかしら?」
「何を?」
「『桜の墓標』よ。若しかしたら私たちが知らないだけかも知れないわ。だって私たちの御国は、隠したり、秘密にしたりが大好きなんですもの」
口元にひとさし指を当てて小さな声で沙名が言う。不遜なことを、と思いはしたが否定は出来ない。先日も教科書が変わった。新しい教科書の口絵の世界地図では、また一つ国が減っていた。理由は教えて貰えていない。
「ううん、御国で
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