ざくろ/亜樹
 

――胸から剣がはえてたらしいよぉ
――風車、風車、一本5文、青、黄、朱色
――アレだろう、高島の屋敷の、まだ随分と若い
――米問屋の若旦那、ああ、真面目な良い人だったのに
――おい、こんなところに子どもをつれてくるんじゃないよ
――たらしこんで、金子をせびったんだって、そんな上等な玉かい
――いやいや、遠ぉてようは見えんが、なかなかなかなか
――お侍さんも可哀想に、あんな嫁貰ったばっかりに
――おまえんとこのカミさんにくらべりゃあなぁ
――恥だなんだでお侍さんは腹ァ切れるんだねぇ
――いや、酒癖がひどく悪かったらしいよ
――なんだって、間男の分際で
――かざぁぐるまぁ、風
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