ざくろ/亜樹
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たきは良人を起こさないようにそっと布団を抜け出すと、寝巻き着のまま庭へ出た。
誰か家の前を通るやもしれないという、微かな不安がたきの胸によぎりはしたが、それはすぐに掻き消えた。
誰ぞに見られたところで構うものか。所詮明日には死体へと変わる体だ。惜しむようなものでもない。
そう思うと、むしろ清々とした心持で、たきは裸足のまま庭へと降りた。今日は満月だ。月の光が柘榴の枝を通し、濃い影を造る。
その光が、赤い柘榴の実を照らしていた。
落ちて朽ちた実が放つ、甘い香りがする。
こんな、芳しいものだっただろうか。
昼間はむしろ嫌悪の対象でしかなかったはずのその実が、ひどく蠱
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