ざくろ/亜樹
職人をやとおうにも、その日の米さえままならぬような様だったのだ。
そのくせ変に狭義心ばかりが高い。家ばかりがでかく、碌な録も与えられない我が家が、良人の様な生真面目な婿をもらえたのは、僥倖としかいいようがないだろう。
いっそ、身分も家も、全て売り払ってしまえばよかったのだ。
良人も自分も、息子すら死なねばならぬということは、ようするに廃嫡ということなのだろう。てて親が、そして自分が身を挺して守ったはずと家と血は、理由もわからないまま絶えようとしている。
それに逆らう気力もたきにはなかった。
ぼとり、とまた一つ柘榴の落ちる微かな音がする。
熟れ過ぎた果実は落ちる。
つまり
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