午後の雨脚/たま
 
き返す

 うん、好きだよ
 あたしみたいだから?

 ん・・。どこが?

 あー、なによぉ。わからないの?
 ごめん、教えて・・

午後の雨脚が強くなってキッチンの灯りだけをともす
せまい部屋はそれで十分だった
乾きはじめた紫陽花のちいさな花芯がひとつ汗ばんだ
テーブルに落ちていた

今日のHはなぜかからだが重い

 疲れてる?
 ちょっとね

 仕事か?
 うーん、でもないかな

 もうすぐ生理だから

めずらしく嘘をつくHのくちびるをふさいでそのまま
重いからだを抱き起こす
軋むベッド
ここから先は嘘はいらない

 ベッドのうえで嘘
[次のページ]
戻る   Point(20)