午後の雨脚/たま
 
で嘘ついたら、殺すわよ

たったひとつ、Hと交わした約束だった


 紫陽花ってあたしみたいに複雑なんだと思う
 乾いていたら傷だらけになっちゃうの

 だから、いつもぬれていたいの


いつか雨はやむかもしれない
ぬれたままのHを手折ったのはわたしだったから
今はこうして傷ついた花芯に舌をからめていよう

この街の片すみで
四季をなくしたふたりの季節が通りすぎるまで










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