午後の雨脚/
たま
で嘘ついたら、殺すわよ
たったひとつ、Hと交わした約束だった
紫陽花ってあたしみたいに複雑なんだと思う
乾いていたら傷だらけになっちゃうの
だから、いつもぬれていたいの
いつか雨はやむかもしれない
ぬれたままのHを手折ったのはわたしだったから
今はこうして傷ついた花芯に舌をからめていよう
この街の片すみで
四季をなくしたふたりの季節が通りすぎるまで
戻る
編
削
Point
(20)