妖怪と街灯/竜門勇気
いるときはそうはいかない。くづめ小柿の枇杷の種はとっても魅力的なんだ。
知りうる限りの言葉を尽くして褒め、しまいには身につけてるものを全て差し出してしまうくらいにね。
そうして手に入れるものは枇杷の種が一粒さ。最初こそ世界で唯一のとんでもない宝物を手に入れた気になるけど、やっぱりそれは特別なんかじゃないただの枇杷の種。
捨てようかとも思うけど差し出した物の大きさが脳裏をかすめちゃって芽のでない枇杷の種を後生大事に持っているハメになる。そして君が死んでしまうと枇杷の種は両手の指の爪に入れ替わってしまう。
枇杷の種はくづめ小柿の手に戻る。
ひょっとしたら君の部屋にもそんなモノがあるんじゃない
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