「春と修羅」についての短い散文/……とある蛙
 
は怒り、敵意そして慢(法を極めたと勝手に思い込み仏陀の正しい教えに耳を閉ざすもの)の3つです。
 修羅は宇宙の統一性を知らないため、個々の存在がバラバラだと信じ込んでいるので、怒りや悲しみを抱えて孤独で且つ断片的で、非常に狭い現実感に生きる者です。また、将来に対して狭いビジョンしか持っていません。
 近代科学においてさえ、宇宙は常にそれを観察するものを包摂し、動態的で分割不可能な全体として経験されています。

賢治の信仰していた法華経の序において、宇宙は阿弥陀如来の眉間の間、白毫相から発せられる光によって周く照らされているという統一性を持ちます。無限有情の大地獄から有頂天まで全てでこの光に
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