長いおかわり/花形新次
 
ミョギーは店内に響き渡るような大きな声を出して、僕の朗読を止めさせた。
「あいつの悲しい気持ちは、俺が一番わかっているんだ。」ミョギーは薄っすらと涙を浮かべていた。
「俺を振らなければならなかったあいつの気持ちは。そして悪いのは全部俺だ。」そう言うと、ミョギーは腕で涙を拭って、お冷を一息で飲み干し、「お冷頂戴!」とお下げ髪に向かって叫んだ。
お下げ髪は丁度僕らの注文を運んで来るところだった。
「やっと来たね。」僕はミョギーに向かって微笑みかけた。ミョギーは、
「ああ。」と答えた。そしてなぜかミョギーの視線は僕の前に置かれた塩サバ定食に注がれていた。気にせず、僕が食べ始めると、ミョギーがま
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