白昼夢/遠藤杏
金魚の尾ヒレが風に溶けだして、黒い太陽が微笑んだ
きっと迎えに来てくれるような気がして親指に……いくつもの理由を蓄えて、一日を辿り着く街のため、最後の一口のため、今ここで君の横でそわそわしている
繊細な画面に触れると、次々に重なる影と影と陽と陰が、僕の体内のもっと深いところと一緒になって回りだす
いつかの靴が飛びだして、いっせいに遠い雲の方へと飛んでいくのを何もせずじっと眺めた
僕のありふれた欲望の音量は高く、
背伸びしても届きそうにないのと、あとは昨日着用した衣服のしわがもう伸びることはないということを、触覚を使って全部吸収しているからだ
想像力を膨らませて僕の名前を
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