白昼夢/遠藤杏
前を呼んでくれ
停滞しているのは君のせいでもなくて、今日という日と明日という日がいまいちなのもきっとそのせいでもなくて、僕の体が今にも欲しているものは、いつまでも手のひらに握ったまま
そこから動かないでいつまでも時計の音を聴いている
きっと僕の思考が飛んでいった先には何もないだろうけど、いつか見た低い家々の真ん中で、一番目立つあの家の住人になろう
想像力を膨らませて僕の頬に触れてくれ
脳内の音量がやけにでかくて、頭の上に何か平たいものが鎮座しているかのよう
先に君に順番が回ってきたら、もし本当のことを教えてくれないのならば選択する余地もないのだから、一番近い方の国でまた会おう
無音の信号が割れる音がする
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