銃声 / ****'04/小野 一縷
 

           - マルガレーテへ -



懐かしい旋律よ 黒髪が黒い鍵盤を浸す時
古い一族と共に お前は 滅びる
彼女が今 白い鍵盤を 血の赤で汚している

彼女の唇が そっと血と吐く時
古からの口承
老いた大白鳥の最後の飛翔 
その美を その瞬間を持続せよ
末裔として

彼女はしかし 足早に去ってゆく 
暗い森からの 呼び声の震えに 惹きつけられて
星々が瑞々しく 滝のように夜を下る その下
白い肌を霧のように冷たく揺らして

棘のある草木が 囁いている
すると そこに彼女の盲いた瞳が
ああ 君が俯いて 流す 血の涙 
その純潔な佇まい
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