男の子のこと/はるな
 
物事が許されそうな日。わたしはわたしにだけ優しくすることができたし、誰が傷つこうと構わないと思った。恋愛なんて、傷つくほうが悪いのだ。傷ついたってなんだって、好きなものをきらいにはなれないし、嫌いなものを愛することはできないんだから。
むろん、別れを切り出されるときにはわたしだって穏やかではない。でもいちばんさみしいのは、別れさえもそこに無いときだ。そんなふうな恋愛もいくつもある。こちら側でだけはじまって、どこを探しても終わりなどなかった恋。行き場のない気持ちは、ノートやアルバムや次の恋ににじんであふれかえる。

恋などしないと断言するのはどんな気持ちだろう。わたしはそれが、羨ましくもないし
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