男の子のこと/はるな
 
いし憐れでもない。ただこの先おそらくそんな気持ちにはならないということはわかる。
だってこんなにたくさん人がいるのだ。

ただわたしはもう知っている。わたしは恋や愛や、そういうわけのわからないものや、抱擁や性交や逢瀬よりも、あの穏やかな気持ちを待ち望んでいる。
物事を決めるとき特有のあの穏やかさ。世界と自分が乖離していく恍惚。男の子を抱こう、と決めながら、それでいて、何もいらないと思う、あの甘やかな残酷。
それらは生活とぜんぜん別の場所にあって、いつだってわたしをただの女なのだということをわからせてくれる。


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