朝を迎える/はるな
 
じる。通り沿いのレンギョウも咲きそろっている。まちきれない桜のいくつかはもう咲いてしまった。蕾はふくらんでどきどきしている。土が、木々が、草が、花が、コンクリートが、カーブミラーが、壁が、空が、色が、街のすべてが、あるべき場所におさまっている。そうして、そのあるがままのものもを、そこにあるものとして、わたしは受け入れることができる。許すでもなく、愛するでもなく、もちろん憎むでもなく、ただそれがそこにあることを知り、受け入れることができる。
そのときの、わたしがその場所たちに受け入れられているという、圧倒的な幸福感。ゆるぎなく、息がつまりそうに芳しく、目がくらむほどの、それでいて、自分のなかに自分
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