朝を迎える/はるな
 
自分がきちんとおさまっている静けさ。

ものごとすべてが完璧にそのものとして在る、そのひとつひとつの圧倒的な幸福感。


でもその幸福感は永遠には続かない。いつも。
ただそれは一瞬ではない。わたしの胸に幸福感の尾を残しながら、いつも少しずつ去っていく。穏やかな気持ちは、穏やかに去っていく。
いつ会えるかわからない、その幸福感を、静かな朝を、感じたくてわたしは生きているのかもしれない。幸福感の去り際に、ぼんやりとそう思う。それは、去っていくことを含めて、わたしがまた波打った現実へ引き戻される前提があることも含めて、しあわせなことだ。
たとえこの先このような朝を迎えることが無かったとしても、構わない。そして、それでもこれも現実だ。わたしは朝を所有することができない。それは、わたしが朝を失うことがないことも意味している。だから安心して、わたしは、突然くるその朝を、静かな朝を、幸福感を、さみしさを味わうことができる。
完璧な朝だ。

きょうも、そうして、朝を迎えた。
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