slide away / ****'99〜'03/小野 一縷
 
誰もが訝しげる程の 魅力的推進力は 行く 
銀と紺の紙一重の狭間を きみに乗って
きみの意思を 押し退けながら 
時間に 排泄されるまで
きみの 前歯の隙間を 嘲笑って 
大脳の丘稜線を なだらかに垂れて


さあ


振り解かれないで 掴まっていて 
雪原の黒点でしかなかった きみは
今 移ろい そのもの 
「いつも」も 「いままで」も 
車窓を一つずつ滑るように
目蓋から 振り落とされ 果ててゆく



滑走 ひたすらの 滑走



朝陽が じらじらと 一面の雪を輝かす
冷め切った朝を さらに 真っ二つに切った きみの通過音は
なぞった雪面を
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