はずかしいこと/はるな
 

恋人はときどきすごくやさしいので、わたしは我を失ってしまう。
恋人は、完璧に、臆面もなく、溢れるようにやさしい。それはでもただしいことではないのだ。

ニュースをみて泣いたのは、恐ろしかったからではない。悲しかったからでは。
わたしの友人も、家族も、みなすぐに無事が知れた。泣いたのはそれからだ。
恋人の故郷は崩れた。人々の無事とはべつにして、ふるさとが崩れるというのがどういう心持だろう。弱音を吐くひとだったらよかったのかもしれない。でも恋人はそうではない。夜中の台所で、つめたい床のうえで黙って胃薬を飲むのだ。
体制がととのえば(それにはどれだけの時間がかかるだろう)、恋人はふるさと
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