雪の照り返すこと???黒崎立体 “平川綾真智「胎児」について”/葉月二兎
 
の留守電を、
  蹴る腹に向けて
  保存した


雪の結晶の核として改めて書き出された四行。

「私」が抗うことをやめたのは、「私」の中で育ちつつあった「家族」である。
そして「家族」のなかで育ちつつ合った一つの雪。
女の子の中で「子」が育っていくように、「家族という存在」もまた「私」のなかで育っていった。
それはまた雪の枝=血を分けた姉の中で育つという枝の分岐;「家族」でもある。

「私(たち)」という家族、「胎児」。それがタイトルになっているこの作品。


  8センチよりももっと小さい
  家族という名の小さな胎児
  姉の胞衣で子供は育つ
  私は母の
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