【批評祭参加作品】村上春樹の過大評価を考える/番田 
 
だが、自国の文化を否定してまで他国のものを引き合いに出すというのは非国民のすることとと似ているのである。私はその点においても、彼に対して賛同できない。


話しは変わるが、私がちょうど三年ほど前アメリカに留学していた頃、アメリカはああいった小説や文学好きがいたわけで、彼らに村上春樹の名前をなんとなく出してみても、これに対しては知っていますという人はひとりも見あたらなかった。村上の知名度は、世界ではあまりないのだ。彼らにとっては自国やイギリス人作家に対する敬愛の方がより膨大であった。そんなものなのである。日本という閉塞された場所を出ると、誰一人世界の片隅の島国に関心を寄せている人間など存在しな
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