【批評祭参加作品】となりに、近くにいる人は簡単には理解しえない。 佐藤泰志『海炭市叙景』のこと/mizu K
光をあてる。これは「まっとうな男」でも現出する手法であるが、秀逸なカメラワークによって180度視点を転換されたようなこころよいめまいにも似た感覚を起こさせるこの手腕はとてもいい。
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また別の話。
もともとこの作品はさらに2章、もうあと18の物語の追加をもって1年をゆっくりとへめぐるように構想されていたが、それは佐藤の自死によって永久に断絶した。
第1章においては冒頭の兄妹のエピソードが別のところでニュースとなったり、引っ越しの手続きで電話をかけることが、他の挿話にもつながるなど、それぞれの物語が独立しつつ、しかし細いながらも一定のつながりを、かろうじて保っている。が、第2章
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