【批評祭参加作品】となりに、近くにいる人は簡単には理解しえない。 佐藤泰志『海炭市叙景』のこと/mizu K
 
しい人を理解することの、思いやることの困難さを感じ、結果としておこる葛藤や衝突。だが、よく考えてみれば、わたしたちは多かれ少なかれそういうものを抱えて生きてるよね、ということも、この作品を読んでいるうちにあらためて気づかされるのである。




 別の話(すこしエピソードの核心部分に言及、つまりネタバレします)。
 さきに、「ベストセラーを追う人々」についてすこし、揶揄しつつ、言及したが、この作品でいえば「2-7 衛生的生活」においておもに中心的に語られる人物がそれにあたる。広告に踊らされ、大衆迎合的な嗜好をもち、もちろんベストセラー小説を定期的に購入し、当時のトレンディ・ドラマよろ
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