【批評祭参加作品】主観という自家薬籠中の物/石川敬大
 
あるのなら、より賢明な選択だとはいえるのではないだろうか。

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 中原中也賞はがんらい「新鮮な感覚を備えた優れた現代詩」の書き手に贈る賞という主旨の性格によるものか、これまでに豊原清明のある種の稚拙感すら感じる詩集『夜の人工の木』や、和合亮一の言語暴力的なまでに圧倒的な語彙の量を誇る詩集『AFTER』、さらに若年者に授与しようとする傾向があることを選考委員の知人から訊いたこともある。
またそれは、既存の価値に対して対極とはいわないものの、別種のものを顕在化させることができるものを授賞対象作品に選んでいるかのような印象も受ける。

 川上未映子作品集『先端で、さ
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