【批評祭参加作品】主観という自家薬籠中の物/石川敬大
 
ことを思います。わたしはあなたのことを知りたいと何度もその
 まま言葉にして思うけれど、知りたいということがいったいわた
 しの何を満たすことになっているのかも検証もなにも出来ていな
 いのに知りたいという言葉でわたしはとりあえず次に進もうとし
 ています。
     (略)
                    『告白室の保存』冒頭より

  あんまりにも夜のような色のペン先を舐めて、舐めても舐めて
 も、インクを舌のうえでどれだけ吸っても口は色づくことがない
 のできりがない。またも夜、窓を開けて眠ればドアとの一直線を
 結んで、風が絶えることなく吹き抜ける、壁があるの
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