【批評祭参加作品】主観という自家薬籠中の物/石川敬大
 
だろうけれど、わたしは、ここに掲載されている七篇の作品のどれをとっても絶対に詩ではないと、断言するつもりは毛頭ない。いや反対に、詩を感じてしまったことが問題で、それゆえにオロオロウロウロしていつまでも拘ってしまっている、そんなじぶんが厭で仕方なく、早く決着をつけてしまいたいのである。

 いったいこの本のなかのどんな箇所の、どんな言語表出が詩的であるのか。選考委員たちが詩の賞を授与するということは、これが小説やエッセイなどではなくて、詩集として読まれ感受された何よりの証拠なのだろうから、これが、どうして詩集と感じられるのかを検証しながら詳細に読んでみることにしよう。

          
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