【批評祭参加作品】主観という自家薬籠中の物/石川敬大
『夜の目硝子』冒頭より
最初の『像の目を焼いても焼いても』の一文で指摘するなら、「慈悲を練り込んだ」ような「暗黒の象の目」、「球体の母親」であるかのように「深く深く、波うって」いて、「思い出や意見や成就や残念が映って」いるといった、主観的で感覚的な語句と、その後の、畳みかけるようにつづいてゆく語句の、メタファのなかの暗喩でも換喩でもなくて、強いていうなら感覚的なインスピレーションからくるイマジネーションによる、多彩な語彙を駆使した言語展開力をみることができるだろう。
次の『告白室の保存』では、先に指摘しておいた求道性や求心性をみるだろうし
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