【批評祭参加作品】近代詩へのリンク ー富永太郎試論ー/石川敬大
 
の作品三四〇篇というのもすごいが、ボードレール、ヴェルレーヌ、マラルメ、ヴァレリイ、クローデルの象徴詩の正統から、アポリネール、コクトー、ラディゲの前衛詩人、スーポー、マックス、ジャコブといったシュールリアリズムの詩人まで広範囲にカバーしており、その影響力は戦後詩人たちにまで及んでいると言われている。
さて、話をもどそう。富永の詩には、優れた散文詩のほかに韻文の『COLLOQUE MOQUEUR』『熱情的なフーガ』『焦燥』『ランボウへ』といった佳品もあるが、どうしてもつぎの散文詩『群集』を触れないわけにはいかない。

  私には群集が絶対に必要であつた。徐々に来る
 私の肉体の破壊を賭けて
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