【批評祭参加作品】近代詩へのリンク ー富永太郎試論ー/石川敬大
 
に置ける。つぎに引くランボーの『饑餓の饗宴』だとさらに、時代を超えて現代にも通用する佳品となっている。

  俺の饑よ、アヌ、アヌ、
   驢馬に乗つて 逃げろ。

 俺に食気が あるとしたら、
 食ひたいものは、土と石。
 ヂヌ、ヂヌ、ヂヌ、ヂヌ、空気を食はう、
 岩を、火を、鉄を。  (『饑餓の饗宴』冒頭二連)

 ほかに、ランボオの訳詩としては『労働者』『古代』『朝』『小説』『錯乱㈠』があると言うが、散逸でもしたのか思潮社版に掲載されておらず、どうなったのかは皆目わからない。残されている「詩帖1」には、ランボーの『酔っぱらった船』の原詩の転記があって、各詩
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