【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
た飽きてくる。私は自分の言葉が虚しく空へ消えていくのを感じる、光さえ残さずに消えていくのを見るとき、猛烈な喉の渇きと共にそれが身体の水分を消費するだけの無益な行為だったと気付くのだ。そしてもう少し言葉を追い掛けてみたくなる。少なくとも私は、そうやって書くことを初めている。
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文学極道では、世界という言葉が好んで使われていた時期があった。コラムを読めばそうしたことは明らかである。私の解釈では、この世界とはハイデガーの「世界」の意味である。それは、ダーザイン氏がハイデガーの影響を受けたと発言していることからも容易に推測でき、「実存」大賞や「人間を書け」という主張からも、実存主義や現象学の
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