かぐや指/salco
 
たしの獲物だよ。さっさと肉切りを持って来な」
「嫌だ、わしは腹ぺこなんだ。もう働かねえぞ」
 思わずお婆さんは、腰をかばいつつも腹を抱えて哄笑したものです。
「働いた事なんか一度でもあるのかい、甲斐性なし。ひひひ、墓荒らしじ
ゃなく毎日砂嵐でさ」

 今度こそ殺してやる。お爺さんはぼろ雑巾にも似た自尊心に誓ったもの
です。すごすごと台所から持って来たナイフを持つ手がわなわなと震えて
おります。けれどもお婆さんは既に、アメリカ製M16A2突撃銃の照準
を標的の眉間にぴたりと合わせていたのでした。そして威嚇と懐柔こそが
間抜けを操るセオリーである事をも知悉しており、
「さあ、さあ
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