かぐや指/salco
たワニは、早くも傷み始めていたので
す。
「あの因業婆あ、みすみす御馳走を腐らせおって」
今夜こそ蹴り殺してやる、へっついの緑青をたんまり舐めさせてくれる
ぞ。お爺さんもたっぷり意趣を反芻しながら帰宅したわけでした。
「おい婆あ、わたも抜かねえとはどういう了見だ。とうとうモウロクしや
がって」
どさり! と、でっぷり肥えたワニの死骸を土間に降ろせば、隙間だら
けのあばら家にたちまち生臭い死が立ちこめました。
だましだまし寝台に半身起こしたお婆さんは中山式コルセットを装着し
ており、間髪入れず枕元の急須をお爺さんに向かって投げつけました。
「じゃかあしい! あたし
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